バンザイクリフ

タイラ昭一

2019年10月16日 01:03

サイパン島・テニアン島慰霊の旅シリーズ第2弾
サイパン島の北部にある風光明媚な断崖絶壁は通称「バンザイクリフ」と呼ばれている。
美しい光景のこの地域は悲しい過去を背負っている。
太平洋戦争時の1944年6月15日に島の南西部に上陸した米軍は南から北へと、じりじりと圧倒的な強さで日本軍を攻め入り、日本兵、民間人はそれに追われるように北へ北へと逃げた。
アメリカ軍の激しい戦闘において、追い詰められた日本兵や民間人が、アメリカ兵からの投降勧告、説得に応じず「生きて虜因(りょしゅう)の辱めを受けず」と万歳を叫びながら80メートル下の海に身を投げ自決した悲劇の断崖(岬)である。
多くの自決者が「天皇陛下、万歳」と叫び両腕を上げながら身を投じたことから、戦後この名で呼ばれる様になった。(-_-メ)
自殺者は1万人とも言われ、海は血で真っ赤に染まり、死体の上に落ちたことで助かった者もいたという。
苦しくもそこは母国日本に一番近い島の最北端でもある。
崖に沿って遺族会や宗教法人などが建立した大小様々な供養塔、慰霊碑が並んでおり美しい景色とは反対に、切なさばかりが漂う場所だ。